①「女性にとってよい職場」の定義とは?
「女の職業として、先生ほど良い職場はない」(p.64)
「でもそれって、誰にとってもいい職場ってことでしょ」(p.65)
キム・ジヨンが言うように、子育てしながら働ける職場は、女性にとってのみ良い職場とは言えないはず。
ライフプランや家族計画、ヘルスケアなどのことを考えたとき、「女性にとって(のみ)良い職場」とはどんなものだろうか?
②妊娠・出産で女性は何かを失うの?得られるものは?
「それで、あなたが失うものは何なの?」(p.129)
キム・ジヨンに共感するとともに、妊娠・出産によって男性には大きな変化がない(ように見える)ことに気づかされた一節。
キム・ジヨンが失いたくなかった「若さ」や「健康」、「職場」は本当に手放さなければならなかったのだろうか?失うことだけにフォーカスせず、得られるものは何だろう?
また、男性は本当に何も失わないのだろうか?
③本当に「難しい」のは何なのか?
「いくら良い人でも、育児の問題を抱えた女性スタッフはいろいろと難しい。後任には未婚の人を探さなくては……。」(p.167)
この著書の中で、個人的に最も絶望感を抱くのが161ページ以降の、キム・ジヨンの担当医によって語られる最終章。自身の妻にも実際に起きている問題でさえも、「どう解決するのか?」について何も触れられずに、この小説は終わってしまう。
「難しい」のは「育児の問題を抱えた女性スタッフ」なのだろうか?担当医の視点を変えるにはどうしたらいいだろうか?